ライブ動画配信サービスは老舗のニコニコ生放送、ツイキャス、若い人に人気のTiktokまで技術の進歩とともに多様化し、2020年現在では身近なものになりました。
この記事では個人がエンタメとして楽しむだけではなく、企業のプロモーションとしても活用されるYouTubeライブについて詳しく解説します。
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YouTube ライブとは
全世界の月間アクティブユーザー数が20億人(2020年3月調査)の動画プラットフォーム、YouTubeで行うことのできるライブ動画配信サービスが「YouTubeライブ」です。
YouTubeライブの詳細を4つの項目に分けて説明します。
YouTubeライブを行うための準備
YouTubeライブを行うためにはまず機材の準備とYouTubeライブを有効にする設定を行う必要があります。
YouTubeライブを行うために必要な機材はGoogleアカウントと動画配信用のPCかスマホのみです。
もしYouTubeライブ配信のクオリティを上げたいのなら配信ソフト、PCマイク、Webカメラなどを準備するのも良いでしょう。
配信ソフトについてはYouTubeヘルプにおすすめが掲載されているので参考にしてみてください。
YouTubeヘルプ エンコーダについて
https://support.google.com/youtube/answer/2907883?hl=ja&ref_topic=6136989
配信ソフトは無料のものと有料のものがあるので、使いたい機能や予算をよく検討して選ぶことが大切です。
次にYouTubeライブを有効にする設定の手順ですが、PCとスマホで内容が異なります。
PCの場合
(1)YouTubeホーム画面の右上にあるアカウントをクリックして表示されるメニューから「YouTube studio」を選択する
(2)アイコン横にある「作成」か「ライブ配信を開始」ボタンをクリックする
(3)アカウントの確認画面が表示されるので、「電話の自動メッセージで受け取る」か「SNSで受け取る」をラジオボタンで選択し、電話番号を入力して送信する
※YouTubeライブが有効になるまで24時間程度かかります。
スマートフォンの場合
(1)YouTubeホーム画面右上のカメラアイコンをタップする
(2)「アクセスを許可」をタップする
(3)電話番号で本人確認をする
YouTubeライブが有効になるまで24時間程度かかるのはPCと一緒です。
設定を行ったからといってすぐには配信できないため、事前準備は時間に余裕を持って行うようにしましょう。
YouTube ライブの特徴について
次にYouTubeライブの特徴を5つご紹介します。
①ライブ動画の視聴・配信とも無料であること
月額制やチケット制などの有料ライブ動画配信サービスも多い中、YouTubeライブは視聴・配信を無料で行うことが可能です。
②Googleアカウントの認証が必要なためライブ動画の質が担保されていること
そもそもYouTubeにログインするためにはGoogleのアカウントが必要なので配信コンテンツの質は維持されます。
③ライブ動画配信中に視聴者と配信者が交流可能であること
YouTubeライブ配信中には動画プレーヤーの右側にデフォルトでチャットが表示され、視聴者は1件あたり全角100文字以内でコメントを投稿することができるのです。
④配信終了したライブ動画はアーカイブとして配信者のチャンネルに自動アップロードされること
これによりもし視聴者がライブ配信を見逃しても、後日自分の都合の良い時間に視聴できます。
⑤動画の保存期間に制限がないこと
アーカイブとして保存されたライブ配信動画は保存期間が無制限となります。
ただしプライバシー設定は通常の動画と同じように「公開動画」「非公開動画」「限定公開動画」の3種類が設定できるので、ライブ配信後にアーカイブ動画を公開するかどうかは配信者が選ぶことができるのです。
企業がYouTubeライブ配信での宣伝を検討する場合は、自分の売りたい商品やサービスをターゲット顧客となる視聴者にこれらの特徴を活かして適切にアピールできるかどうかをまず考えるようにしましょう。
またYouTubeライブを行う上で覚えておきたい制限事項についても2つお伝えします。
モバイルデバイスでライブ配信を行う場合チャンネル登録者数が1000人以上であること
PCとWebカメラを使っての配信ではこの制限は適用されません。
チャンネルまたはライブ配信の設定が子供向けになっている場合無効になったり制限がかかったりする機能があること
児童オンラインプライバシー保護法(COPPA)やその他の適用される法律に従い、機能が制限されるのです。
動画やライブ配信を子供向けに設定した場合制限がかかる機能は14個あります。
- ホームで自動再生
- カードまたは終了画面
- チャンネルの画像・ロゴの透かし
- チャンネル メンバーシップ
- コメント
- 寄付ボタン
- YouTube Music での高評価と低評価
- チャットまたは Live Chat Donations
- グッズ販売とチケット販売
- 通知ベル
- パーソナライズド広告
- ミニプレーヤーでの再生
- Super Chat または Super Stickers
- 再生リストと [後で見る] に保存
またチャンネルを子供向けに設定した場合制限がかかる機能は4個です。
- チャンネル メンバーシップ
- 通知ベル
- 投稿
- ストーリー
企業としてYouTubeライブをする場合は、自分の売りたい商品やサービスのイメージを損ねないためにもYouTubeのルールを理解した上で配信を行うようにしましょう。
YouTube ライブを企業が活用するようになった理由
ではこのような特徴を持つYouTubeライブを、なぜ企業が活用するようになったのでしょうか。理由は2つあります。
1つめは、2011年に株式会社矢野経済研究所が発表した「ビジネス向けライブ映像配信サービス市場に関する調査」によると、2010 年度のビジネス分野向けライブ映像配信サービス市場規模は 6.4 億円と見込まれていました。
そして2020年度にはこの規模が7,442 億円となり、業務分野別では「広告・宣伝・プロモーション」が 4,640 億円で全体の約 62%を占めると予測されたのです。
これは企業が既存の広告メディア媒体にとらわれず、ライブ映像配信サービスを取り入れることで広告宣伝費の費用対効果を少しずつ見直していくことを意味していました。
このことから無料で視聴・配信が行える上に初期投資もほとんど必要のないYouTubeライブが企業に注目されたのは必然だったと言えるのではないでしょうか。
2つめは2020年3月から5Gがサービス開始され、大容量通信が高速で可能になることからスマホでも低遅延でストレスなくライブ映像配信サービスを楽しめる土壌が整いました。
またMMD研究所とスマートアンサーが共同で行った「2017年版 スマートフォン利用者実態調査」によると動画を視聴する際に使用するデバイスはスマホが全体の76.5%を占め、10代ではその割合が85.8%に上ることがわかったのです。
つまり技術的にスマホファーストな動画視聴が可能になったのと、動画をよく見る若い視聴者をターゲット顧客とするマーケティング戦略が重なってYouTubeライブのビジネス利用が増加したと言えるのです。
YouTube ライブを企業が行うメリット・デメリット
企業がYouTubeライブ配信で自分の売りたい商品やサービスを宣伝するメリットを5つ、デメリットを2つご紹介します。
まずはデメリットからです。
①競合する企業もYouTubeライブ配信を行っている場合その存在をコントロールできない
YouTubeのSEO対策であるVSEO対策を施してタイトルや説明を工夫するなどの施策を行っても、競合する企業がそれ以上に魅力のあるYouTubeライブ配信を行った場合、ターゲット顧客となりうる視聴者がそちらに流れる可能性は0ではないということです。
②ブランドイメージ損失のリスクがある
SNSでの拡散で多くの人にYouTubeライブ配信を見てもらえる可能性はありますが、ネガティブなコメントや予期しない形での炎上によりブランドイメージが損なわれる場合もあります。
次はメリットです。
①YouTubeライブ配信は情報量が多いため、効果的な宣伝ができる
視覚と聴覚に動画で訴えるため内容を短時間のうちにわかりやすく、印象に残りやすい形で伝えることができるのです。
②ターゲット顧客とのコミュニケーションが図れる
配信者は視聴者の反応をチャットで確認できるため、ターゲット顧客に対する一方的な宣伝にはなりにくいのと、リアルタイムで顧客ニーズの掘り起こしも可能なのが大きなメリットと言えます。
③コストダウンにつながる
ライブ配信に必要なインフラにかかるコストや広告出稿にかかるコストがYouTubeライブ配信では必要ありません。
④SNSでの拡散が見込める
YouTubeライブ配信はSNSへの共有が容易なため拡散しやすいという特徴があります。
⑤Google検索・YouTube検索で動画が表示され、新たなターゲット顧客の流入が見込める
検索エンジンの上位に表示されるようVSEO対策でキーワードやサムネイルを最適化するとYouTubeライブ配信後のアーカイブからも顧客創出の機会が得られるでしょう。
メリットとデメリットをよく比較した上で自分の売りたい商品やサービスをYouTubeライブ配信で宣伝するのが望ましいかどうかを判断するようにしましょう。
企業のYouTubeライブ活用法【商品紹介】
企業におけるYouTubeライブ配信のメリットを踏まえると、企業がライブ配信を行う場合に適しているコンテンツとは具体的にどのようなものなのでしょうか。
これはおおまかにわけて2種類あり、1つめは展示会やセミナーなどの商品紹介を目的としたイベント、2つめは社員研修や企業説明会など人事や教育を目的としたイベントです。
全てに共通しているのはどこかに人が集まり、伝えたい情報があり、あまり頻繁には開催されないことだと言えます。
まず1つめの商品紹介を目的としたイベントがなぜYouTubeライブ配信に向くのかを考えてみましょう。
YouTubeライブは動画なのでターゲット顧客に企業が売りたい商品やサービスのメリットや良さが伝わりやすく、SNSでの拡散も見込めることから潜在的なターゲット顧客へのアプローチも期待できます。
またアーカイブで動画は残すことができるので、VSEO対策さえきちんとしておけばYouTubeライブ配信を見逃したターゲット顧客へのアピールも可能です。
これらのことから企業で展示会やセミナー、また新商品説明会などの予算をかけた大掛かりなイベントの時にYouTubeライブ配信も同時に行うのは効果的な活用法と言えるでしょう。
実際にYouTubeで検索をかけてみると、季節ごとの新商品説明会の時企業の公式チャンネルでYouTubeライブ配信をしているのをよく見かけます。
自分の売りたい商品やサービスを動画で紹介してみたい時は、YouTubeライブ配信を行うことも検討してみましょう。
企業のYouTube ライブ活用法【企業説明会】
それでは社員研修や企業説明会などの人事を目的としたイベントはなぜYouTubeライブ配信に向くのでしょうか。
YouTubeライブは動画なので、社員や就活生に知ってほしい内容を視覚や聴覚に訴えてわかりやすく伝えることができます。
また、チャットでリアルタイムに質問を受け付けることができるので、社員や就活生の疑問を早めに取り去ることができるのも信頼感の構築につながるでしょう。
これらのことから社員研修は限定公開、企業説明会は公開でYouTubeライブを行うのはとても効果的と言えそうです。
企業説明会でYouTube検索をかけてみると、こちらは商品紹介の場合と違い企業の公式チャンネルで行うのはあまり見受けられず、就職エージェント会社を通じてのYouTubeライブ配信となる場合がほとんどです。
企業で人事や教育を担当しているのなら、YouTubeライブ配信を前向きに考えてみましょう。
企業のYouTubeライブ活用事例
YouTube ライブは商品紹介や企業説明会に向いているのがおわかりいただいたところで、次は具体的にYouTube ライブを企業で活用した事例を商品紹介と企業説明会それぞれの分野で2つずつご紹介します。
【商品紹介事例1】株式会社NTTdocomo 2019-2020冬春 新サービス・新商品発表会
株式会社NTTdocomo が2019年10月11日に行った新サービス・新商品発表会の様子をYouTube ライブにて配信を行った際のアーカイブ動画です。
https://www.youtube.com/watch?v=dZ9vO4e7_ws
代表取締役社長の吉澤和弘さんが「Life Upgrade」をテーマにターゲット顧客の方々の生活をより良くしたいという思いから、5G時代を踏まえた4Gの集大成となる商品やターゲット顧客の方々に寄り添い生活のスタンダードとなる新サービスを開発したという内容を語られています。
具体的には2019年~2020年冬春モデルのラインナップ紹介、2020年2月導入のdアカウントのパスワードレス認証について、株式会社NTTdocomo のキャッシュレス決済であるd払いについてなどをステージ上に大きく映し出される画像やパワーポイントの資料も用いて詳しく説明し、参加者の質疑応答への回答も行われました。
代表取締役社長の吉澤和弘さんが若干コメントを噛んでしまったり、身振り手振りにぎこちなさが見受けられたりするところからYouTube ライブでの配信でそのお人柄が垣間見え、ターゲット顧客となる視聴者の株式会社NTTdocomoに対する好感度UPにつながったと言えるのではないでしょうか。
【商品紹介事例2】Panasonic株式会社 モバイルパソコンレッツノート新商品発表会動画
Panasonic株式会社が2019年9月24日に行った新型レッツノートのお披露目イベントである新商品発表会の様子をYouTube ライブにて配信した際のアーカイブ動画です。
https://www.youtube.com/watch?v=TmERyWr-e98
モバイルソリューションズ事業部長の坂元寛明さんが、働き方改革に伴うテレワーク推進企業の増加を社会的背景として、在宅勤務・サテライトオフィス勤務・モバイルワークなどに対応できるモバイルパソコンというコンセプトで開発したのが新しいレッツノートだということを説明されています。
またモバイルソリューションズ事業部プロジェクトリーダーの上田大さんにより、レッツノートがA4サイズよりコンパクトで軽量にもかかわらず、天板ポイント補強やセキュリティ機能の強化で安心して持ち歩ける仕組みであることが詳しく解説されているのです。
時間の決まっているYouTube ライブにおいても視聴者を置き去りにせず、専門用語をなるべく使わない丁寧な説明を心がけているのが伝わり、レッツノートの購入意欲を高める結果につながったと言えるでしょう。
【企業説明会事例1】東京ガス オンライン会社説明会
東京ガス株式会社が2020年3月17日に行った就活者向けのオンライン会社説明会をYouTubeライブ配信で行った時のアーカイブ動画です。
https://www.youtube.com/watch?v=NLrUwm6tLUc
人事部人材開発室採用チームの井之脇裕亮さんと渡辺沙也香さん2名によるパワーポイントを用いての東京ガス株式会社の概要説明から社員として働く魅力、また社風や今後東京ガス株式会社で求める人材像までが率直に語られます。
東京ガス株式会社という会社に対して就活生が持っているイメージを尊重しながらも、世間一般では認知度の低い事業にもスポットを当ててより理解を深めてもらえるよう工夫されているのが特徴的です。
就活生がチャットを通じて行う質問の数が多く、また内容も配属から働きがい、評価など多岐に渡っているにもかかわらず後半はその質問に丁寧に答える構成となっていたため就活生にとっては東京ガス株式会社に対して安心感と信頼感をもたらすライブ配信であったと言えるでしょう。
【企業説明会事例2】ニトリ~YouTubeで企業説明会~
株式会社ニトリが2020年3月17日に行ったYouTubeライブ配信での企業説明会時のアーカイブ動画です。
https://www.youtube.com/watch?v=qhgr-Ja4Qro
新卒採用部教育チームの福山彰孝さんと岩脇由依さんのお二方によるパワーポイントの資料を用いた企業ビジョンから長期経営計画の説明、また就活生には気になる教育制度まで詳細に語られます。
また対談のパートでは株式会社ニトリの社風についてのお話をされるのですが、お二方ともYouTubeライブ配信で伝えているということをきちんと意識され、仕草や表情も含めて就活生の納得がいくよう見え方を工夫しているのがわかります。
就活生のチャットを通じての質問が部署別の事業内容から配置転換希望についてなど非常に具体的な内容が多数揃っていたにもかかわらず、言葉を選びながらも的確に回答をされていたため、株式会社ニトリの考えがより就活生に伝わる結果となったライブ配信だと言えるでしょう。
まとめ
YouTubeライブは個人が楽しむエンタメから始まったものの、現在ではビジネスの分野において5G普及によるスマホを駆使したマーケティング手法の1つとして多くの企業に認知され、商品紹介から企業説明会まで幅広く活用されているのがわかりました。
大掛かりな初期投資が必要なく、必要な設定も最小限で済むのは自分の売りたい商品やサービスをどのようにターゲット顧客にアピールするのかを考えるのに時間やお金を割きたい企業にとってとても魅力的です。
しかしビジネスの分野におけるYouTubeライブの活用法の開拓はまだこれからだとも言えるでしょう。
社内・社外においてビジネスを効率的にするYouTubeライブを、ぜひ自分の企業に合った形で積極的に活用してみてください。